2014年7月25日金曜日

夏本番

 連日、33℃、34℃が続く本格的な夏到来です。
 今年の梅雨は、ここ3年で一番よく降った気がしますが、梅雨明けと同時にパワーアップして、まさに『照りつける』日差しが戻ってまいりました。
 今日明日は、なんと35℃・36℃ですって!
 いやぁ、参ります……。
 
 ここしばらく、暑いし、早くから明るくなるし、遅くまで眠っていられないから、という理由で朝早くに出勤することにしたのですが、実は、この研究所、特にこの季節の朝7時ぎには、既に結構な人数が出勤しています。

私たちのグループは、終日室内で実験しているわけですが、圃場での実験を行っている研究者は、毎日圃場での作業があります。
 この季節になると、比較的快適に外仕事ができるのは朝のうち。
 というわけで、みなさん早くからでてくるわけですね。
 自分にとっては、朝7時出勤というと、『働き者っぽくて、密かに得意な気分』があったのですが、全く持って甘かったです。

 ところで、季節と云えば、先日フィールドと人口気象室を使って作物の研究をしているグループの人に、面白いことを質問されました。
 『夏になったら、実験室で飼っている赤潮がいつもとちがう、とか、ありませんか?』

 作物の研究をしている人が、室内の人口気象室でその作物を育てると、一年中同じ日長・気温に制御していても、なぜか季節によって育ち方が違うのだそうです。その方によると、『湿度かな?』だそうですが、人口気象室では、湿度もある程度はコントロールはされているんですよね。生物の体内時計の長周期型が季節を教えているのでしょうか。

 そういえば、マウスを使って研究している人から、『実験用のマウスは、外からは隔絶した地下室で人口気象室内で飼っているのに、季節によって明らかに繁殖の効率が違う』と聞いたことがあります。

 ヘテロシグマの繁殖率が違う気はしないのですが、ただ、ウイルスの感染の進行が早くなったような気がしないでもない……。
 単細胞、というと単純な人、のたとえとして使われますが、単細胞生物のゲノムが必ずしも多細胞生物より単純(小さい)とは限りません。これから数ヶ月にわたって、ウイルス感染の過程を時系列的に解析する、というプロジェクトに取りかかるのですが、そういう可能性も頭の隅においておこう……。
 
 
 


2014年7月18日金曜日

季節は巡り……

 7月も半ばとなると、目に入ってくるのは、来年度にむけた研究費申請。
 大学で研究するための資金源として一般的な科研費の次年度予算の申請は10月末……となると、そろそろネタを整理して、必要な予備実験をしたり調べ物をしたりする時期なのです。

 というわけで、実験の合間にPCの前に座ってやってみたいこと・面白そうなことを箇条書きにして、アイディア整理。輪郭が固まったところで予備実験開始です。

 グループ設立から3年間たち、そろそろ予算申請、というよりも採択について、私たちなりの『ジンクス』ができてきました。

 一言でいえば『常に危機一髪』。

 そもそもは、最初にいただいた財団からの研究費、まだ残高は有れど、その使い道はしっかり決まっていて、研究費的フトコロが寂しくなってきたころのことです。
 次の予算をとろうとあちこちに応募し続けてはいたのですが、おちて落ちて落ち続け………というある日。実験室の冷蔵庫をあけてみると、

 …………ぬくい。
 なんと、低温保存の試薬・酵素もろもろを入れた冷凍冷蔵庫が壊れてる!!

 これ、生物学のラボで働いたことのある方にならば、どれだけショックか想像していただけると思います。中に入っていた試薬・酵素もろもろは、ラボ開闢から1年間、爪に火をともすようにしてそろえた数十万円相当。寂しいフトコロからは補填するだけの余裕が有る訳もありません。とはいえ、これらは日々の必需品、なくなったら実験もできない。

 こうなると、どうしよう……なんて、思い惑う余裕もありません。たまたま次の日に締め切だった某財団研究費をみつけ、応募書類を書き上げ、事務に駆け込み提出。財団の研究費は、倍率10倍から30倍。出したってもらえたとしても半年後、しかも9割5分がた『落ちる』のはわかっていても、この状態で手をこまねいている訳にもいかない。

 やれやれ、です。
 ため息まじりにメールボックスをあけたら、アラ、封筒が。差出人は、応募したうち唯一結果をもらっていなかった財団。
 中にはペラリと、『採択のお知らせ』が。
 なんと、このタイミングで、通るとは全く思っていなかった残り一つの申請が通ったとのお知らせをいただいたのでした。
 
 た、た、たすかった……。へなへなと力が抜けました。
 首の皮一枚で生き延びるって、ああいう気分をいうんですね~。

 以降、私たちのグループは、その次も、そのまた次も、「予算採択のお知らせは、『前にとった研究費すっからかん一歩手前』に頂戴する」というパターンが成立してしまっています。

 これまでに聞いたことのあるかっこいい表現を剽窃すると、「研究費は弾薬と同じ。全部使いきらなければ意味がないが、途中できらす訳にはいかない」だそうです。
 ま、使い残しを持ち越す訳にはいかないのは、研究費の決まり事。
 スッカラカンにならないように、うまくつなげていくのが手腕の見せ所なのでしょうが、今回はいかに。
 
 
 
 

 
 

 
 

2014年7月11日金曜日

ありがとう・さよなら

 涙を誘うタイトル(?)ですが、延び延びになっていた当研究所の増改築開始が迫って参りました。築40年の古い古いモルタル作りの建物を解体し、今までよりも幅・奥行きともに大きい建物を、これまでの2階建てから3階建てにする、という大工事。
 これが終われば、新しいラボが完成、床面積もぐんと広くなって……を夢見ながらも、古ぼけた建物に、今まで自覚していなかった愛着を感じてしまい、いやぁ、これが壊されてしまうなんて、悲しいなぁ……。

 という気持ちは皆同じ。というよりも、ここに着任して3年足らずの私などよりも、古くからいる皆さんの方がずっと名残惜しいことでしょう。

 それを証拠に、増改築のデザインを決定する委員会より、もうすぐ取り壊す建物に敬意と感謝の念を表して『ありがとう・さよなら会』をしよう!という提案が。
 いいですね!と賛同したら、ささっと実行委員(というより幹事)の一人に任命していただきました。

 というわけで、7月7日に2グループ合同で主催いたしました、『旧管理棟 ありがとう・さよなら会』。
 これまでお世話になった感謝の気持ちをあらわしましょうと、取り壊される棟にある大会議室に集合。この大会議室は、セミナーや会議、新年会や忘年会など、人によっては昼休みの卓球大会など、あらゆる会合でお世話になっておりました。

 おりしも七夕の夕べ、笹を飾って、七夕祭り。
 みなさんに願い事と感謝の言葉を描いた短冊をかいて、笹にかけていただきました。

 そして、メインイベントは、感謝の気持ちと愛を込めて、白い壁に自由に落書きしてね、大会。カラースプレー・カラーマーカー・クレヨン沢山、ずらりとそろえて、Party time♪

 すでに電気系統は切り離してあるため、冷房なし、明かりもなし、というわけで、1時間ちょっとの間に目一杯楽しんで、さっとお開きにしよう……というのが私たち主催者の思惑だったのですが、皆さん盛り上がって、部屋の中が暗くなる8時頃まで落書き大会!



 終わった後の壁はこんな感じ。





 名残を惜しみきって気が済みました!!感があふれてますね(笑。

 皆さん楽しんでくださって、不肖幹事一同、とてもうれしかったです。


 










































 ← 一番上の写真右部分のアップ。様々な国からの留学生がいる多国籍軍な当所ならではの、様々な言語での「ありがとう」。
 
 増改築でよみがえるのをのぞんで、『またね〜〜』っていうのもいいですね。
 


 実は、この七夕に一日早い7月6日は、当研究所の創立記念日。100年前のこの日に、開所式があったのです。
 二つの節目が奇しくも重なった週でした。

2014年7月4日金曜日

もう一つの『締め切り』

 2014年も半分たちました!早いものです。毎日なんやかやと忙しいのは、楽しい一方、過ぎた時間を振り返ってひやりとしたりもするこのごろです。

 さて。
 先週の葉緑体ゲノム精製完了!で、欲が出て、無理だとあきらめていたもう一つの『締め切り』にも駆け込みで間に合わせました。

 こちらは、某社が開催していた6月末までのキャンペーンサービス。やはり次世代シーケンス技術をつかって、委託としては破格の低価格で遺伝子配列を読んでもらえるというもの。
 生のリードデータを受け取れるだけで、解析は自分でしなければならないのですが、小さい遺伝子ですし、そのぐらいはなんとか自分でやって格安で遺伝子を読んでしまおう!と思ったのです。日曜大工でも研究でも、DIYはビンボー人の宿命です。

 ただ、このキャンペーンの締め切りは6月30日。葉緑体ゲノム精製の締め切り29日の方が大切だったので、こちらを先に解決しなければならない。キャンペーンで解読してほしい目的DNAを高い純度で必要量精製するのは、葉緑体ゲノム精製をしながらではちょっと無理。涙をのんで見送ることになりそう……だったのですが、葉緑体の方を終えてほっとしたところで、去年の実験ノートを見返していて『…そういえば』。フリーザーの奥深くに濃縮してそのままになっていた出発材料が眠っていることを思い出したのです。去年の時点では、精製方法を確立したのはいいが、正規料金でこれらの配列解読をするような予算の余裕はなく。将来別の実験につかうためにと、保存しておいたのでした。

 足りるかなぁ?ぐらいの出発材料から、DNAを精製したところ、なんとか足りる量が、十分と思われる純度で得られました。

 やはり、実験ノートは大切です。よかった♡(笑)。
 この結果が無事得られた暁には、私たちが今後研究するためには、とてもとても大切な情報源となります。ドライアイスづめにしたサンプル入りチューブを宅配便サービスに集荷していただき、ほっ。
 もっと早く思い出せば、もう少し楽だった…のは確かなのですが、ま、いいとします。
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ところで。このブログを見返すと、ここ4月以降は、ほとんど実験の話ばかり。これはやはり、研究が軌道に乗ってきたからなんだろうなぁと思います。このグループも創設から2年半。軌道に乗せるのに、2年半もかけるな!という話もないではないですが、ありがたいことと思っています。