2015年3月27日金曜日

年度がわり

 さて、本年度最後の記事になります。

 25日は卒業式。当所で修士・博士課程を終えた学生さんたちが晴れて旅立つ日でした。大学メインキャンパスでの卒業式の後、所内でこじんまりと学位記授与式。7名の課程終了・学位取得者の皆さんの、新しい出発を前にした明るい表情が印象的でした。それを眺めつつ、教員同士、『いやぁ、なんだか嬉しそうですね。若いっていいですね。』などとおしゃべり(笑。

 旅立って行く皆さんのご多幸とご発展を心よりお祈りいたします!

 去ってゆく人たちを見送り、気のせいか、平日でも、なんとなくひっそり閑としています。
 消耗品の購入も〆。予算もきれいに使い切ったあととあって、本業にも影響が出てしまう時期ですので、たとえば、化学薬品の在庫のチェックとか、気分的に大掃除とか、種々報告書を提出、まさに、締めくくりの季節。年度切り替わりに向けての、このシーズン特有の仕事がいろいろと入ってきます。

 そのいっぽうで、季節は、ちゃんと進んでいますね。朝、明るくなるのが早くなってきましたし、暖かくなってきました。
 桜のつぼみも膨らんできています。

 今年度は、仕事が結構進みました。面白いことも分かってきたし、これからの進展に必要な基礎情報も得られたし、新しい研究手法も身につけたし。充分すぎるほど長い助走期間をとったので、新年度はしっかり結果をまとめあげて行きたいものです。



 

 
 



2015年3月20日金曜日

サンプリングポイント候補見学

 年度末ぎりぎりになって、研究にも進展が。
 ヘテロシグマに感染するウイルスのゲノムの解読が、完了いたしました!そもそも、とある企業のおトク解読プランにのっかって、ウイルスゲノムを読んでしまおうとしたのですが、これが思わぬ難物で。
 途中までは、頑張ってみたのですが、最後の最後で難問につきあたったところ、頼りになる共同研究者が私には解答不能だったパズルを解いてくださり、みごと解読完了!本当にありがたい助力にこころから感謝です。
 さて、この情報を使って、次の段階へ。これからしばらく、慣れない配列解析にいそしむ毎日が続きます。

 というニュースとは別に、今週はサンプリングのポイント候補の検討のために、出張見学へ。
 私たちは、もともとは、分子生物学・細胞生物学的な視点から、赤潮原因藻であるヘテロシグマが面白そう、と研究を入って行った訳ですが、ヘテロシグマの研究を進めるうちに、やっぱり、赤潮発生中の海水をサンプリングして、リアルタイムでアッセイするような実験が組みたい!と思うようになりました。
 そこで、英虞湾の賢島近くにある三重大学水産実験所の見学にお邪魔して参りました。

 いそいそと計画を立ててみたら、これが岡山からは行きにくいところにありまして。結局、新幹線で新大阪まででて、そのあと近鉄特急に乗り換えて2時間半。駅まで迎えにきていただいて、そこから車でさらに30分。
 考えてみたら、新幹線沿線からここまで離れるのって、久しぶり…。いえ、帰国して初めてかも知れません。

 急に暖かくなって、海も凪いでいるときにお邪魔できて、ラッキーでした。
実習所の前から。海水が透き通ってきれいです。
 英虞湾といえば真珠養殖。海岸線が入り組んで、島も多い地形なので、海水が囲い込まれた形になっており、赤潮が発生すると被害も甚大なのだそうで、地元の養殖関係者の赤潮モニタリングに対する関心派非常に強いのだそうです。
湾には、三重県が所有する自動計測ポイントが↓。
湾内の、水深10メートル程度のところに浮かんでいる筏に搭載されています。

この写真だと分かりにくいのですが、筒型に組んだ金属製の枠のようなものの中に各種センサーが搭載してあり、これが1時間に1度、自動的におろされて、海水の温度・塩濃度・海水中の植物プランクトン総量・その他諸々の計測をしてくれるというもの。データは近くの研究所に送られて、営々と蓄積されているのだそうです。そういう観測データと結びつけた研究ができたらいいな、と思案中…。

 訪問したのは、海洋性プランクトンの生態系における振る舞いを研究しているグループなのですが、学生さん二人の息のあったサンプリングぶりが印象的。うちお一人は、修士課程を修了して、この4月から就職とのこと。『卒業旅行にきました』、とのことです。確かに、きれいな海と、船に乗ってのサンプリングと、アットホームな宿泊所つき実習所って、この先なかなかできない経験かも…。就職してから懐かしく思い出す一こまになるのでしょうね。

 今年の夏は、是非、ヘテロシグマ赤潮発生中の過程をつぶさに追うような研究をしてみたいとおもっているのですが、サンプリングの手間をみても、行き当たりばったりにできるような研究ではないな、と、実地に見たいろいろを頭に入れて計画を立てようと思いました。

 

 
 

2015年3月13日金曜日

一山超えた?

 例の講習会から2週間。
 あの内容を、2泊3日の講習会でマスターできるはずもないことは、講師陣は当然ご存知。会場でいただいた教材には、ちゃんと自宅学習の課題と、その分析に使うDatasetsがはいったフラッシュメモリが含まれておりました。
 というわけで、さて、復習。

 私のような初学者が、最初につまずくのは、自分のPC上での解析環境セットアップ。
 今回は、あちら所有のPCで解析を習ったので、1から自分の環境を作らなければなりません。
 週末いっぱい使って、やはり数カ所つまづきながら、なんとかセットアップ完了、講習で習った一通りの解析も、おうちでちゃんとできちゃった♪時には、大変嬉しかったです。

 去年の今頃から志して勉強初めて、一人で挫折→習ってちょっと進歩→一人でもう少し頑張って行き詰まり感→今回の講習、と実に時間がかかりました。
 この手のコンピューターを使っての仕事って、各ステップができないと『絶対に』前に進めないんですよね。
 外のことの習得ならば、あることができなかったら別の方法で代用して、と、適当な抜け道がみつかることが多い。
 でも、コマンドラインを使ったコンピューター操作の初学者には、この、適当な抜け道をみつける、というのが至難の業。習うより慣れろ、といいますが、これについては慣れるには習わないと無理なわけです。
 そういう意味で結構大変……ただ、最初の『大変』を乗り切ると、急に愉しくなってきました。『エクセル使えば?』な、表のソートだの結合だのをわざわざUNIXでやってみたり、いつもは手でひとつひとつ変えるDNAシークエンスデータのファイル名をバッチ処理で変更してみたり。

 …いや、そんなことはおいておいて、RNAseq解析だけできればいいの、無駄に道草食わんでもよろし、という話もありますが、それはそれ、です。

 この感覚は、言って見れば、英語の基礎がある程度できたような気がしたときの愉しさにそっくりです。基礎がなんとかなると、それが受け皿になって、語彙を増やすのが格段に楽になる、あの感じ。そういえば、コンピューター『言語』っていうもんなぁ、と妙に納得しました。

 この調子で、Rもモノにするのだ!(ここで書いて挫折したら恥ずかしいので、あえて宣言させていただきます)

 ところで。
 教科書を読んでいてでてきた『デーモン』ということば。よく、メールデーモンとか云いますよね。私はずっと、サーバーに住んでいるデーモン=悪魔、面白い命名だな、と思っていたのですが。英語ではこれは、demon =悪魔ではなくて、daemon=守護神、なのだそうで。デーモンと云えば『閣下』が思い浮かぶからですが、確かに守護神の方がぴったりきますね。こちらもちいさな、なるほど、でした。
 

2015年3月6日金曜日

行ってよかった!

 先週は、某国立研究所で行われたコンピューターによる遺伝子発現解析方法を習得するための講習会に参加して参りました。
 これについては、今までに自分で習得しようとして音を上げ、次にマンツーマンで教えていただいて、多少分かるようになりながらも、まだ頭の中を?が渦巻いているのをだましだまし…という状態。習得を志してから時間が経てばたつほど、危機感もつのり…という状態だったのですが、幸いのことに2泊3日で行われた、この講習会に出席させていただき(希望者多数のため参加希望者のスクリーニングがあったのです)、うん、パワーアップした感じ!

 1日目は午後から始まり、2日目は当然一日中、3日目も朝9時から夕方6時頃までと、ハードなスケジュール。授業をうけるのも、ハンズオンの実習も、頭をつかってふらふらになりましたが、本当に勉強になりました。
 とはいえ、受ける方が大変な密度であれば、主催者側はもっと大変だと思います。1年に2回行われている講習のようですが、すでにこれまでに数年開催されているようで、年々内容も洗練されているとのこと。主催者の方々のご苦労に本当に感謝です。

 内容は実に盛りだくさんで、Unixの基礎の基礎から始まり、Rの基礎も一気に走り抜け、更に統計解析の理論的な授業を受けた後に、さて、実践演習、と、実にIntensive。今まで、あっちの講習で少し、マンツーマンで教えていただいて、さらにその復習と独学と…と云う風に学んできた私の頭の中は、パズルのピースはほとんどそろっているけど、うまくつなげて絵にできない、とか、小さな、しかし重要なピースがころっと抜けている、というような混沌状態だったのですが、今回の講習ですっきり整理できた感じ。
 今回の講習は間違いなく偉大でしたが、しかし分からないながらイジイジと続けてきた独学がふりかえってみれば予習になっていたわけで、やっぱり学ぶって大切なんだ…と、ちょっと報われた気分です。
 今回は、当所からもう一人この講習会に参加できたため、二人で情報交換しながら復習もできる訳で、大変心強い。もうひと頑張り、復習に時間をかけて、今度こそ自分でなんとかしたいものです。

 そして、この手の会でのもう一つのお楽しみといえば、知人を増やすこと。同じ苦労(笑)を2泊3日でともにしたこともあり、研究の突っ込んだ話等、大変愉しい会話が持てました。今後の研究を通したお付き合いが広がりそうです。

 ところで。
 出席者のお一人に、私の出身地近くにお住まいの方がいらっしゃいました。ローカルネタを交換しているうちに、なんと、その方のお父さんが、私の中学校のときに教えていただいていた理科の先生だったことが判明。世の中って、本当に狭いものです。懐かしくなって、お渡ししていただこうと、ノートのページを一枚やぶり、ボールペンでカリカリとご挨拶の手紙を書きました。いつもとるメモやノートには自分にだけ読めるような走り書きをしてしまうのですが、こういうことがあると、やっぱりきれいなペン字が書けないのは恥ずかしいものです。実験ノートも、もう少しきれいな字でとろうかなあ、などと、妙な反省をいたしました。